敷地は福島県いわき市の中心市街地に位置する。震災後、人々の関係や風景が大きく変わる中、こどもたちが学びと遊びの中で成長し、その成長を地域が見守る環境づくりを目指した。「学ぶ場」としての保育室を街に面して配置し、「遊ぶ場」としての園庭やデッキ、スロープを園舎の外周に張り巡らせて回遊させることで、こども達が街に飛び出していくかのように駆け巡る。中庭や外壁からとび出したデン、大きな窓など、「透明な空間」を積層させることで、こども達の様々な活動の様子が折り重なって地域に溢れ出す。園舎の屋根は外に向けて逆勾配を持たせ、日中の間接光を保育室内に取り込み、夕暮れ時には、内部の明かりが、暗がりのまちを優しく照らす。地域と園の垣根をあえて無くした設計により、様々な相乗効果を生み出す。地域に見守られることでこども達は安心感を憶え、こども達の笑顔や元気な声は、震災後大きく変容する地域に活力を与え、そこに住む人々の夢や希望を育む場になること願う。共同設計:ジャクエツ環境事業/イガラシデザインスタジオ/粟辻デザイン