東京都江戸川区で在宅診療・在宅介護を中心に1500人の患者を診る医療法人「しろひげファミリー」の本部施設の新築計画である。分散していた医療・介護の各機能を一つに集約し、医療と介護と地域がひとつになって利用者に寄り添う、総合的サービスを提供する診療所を目指した。「しろひげの木」を本計画のコンセプトとし、屋根を支える樹形柱を中心に地域の人々が集う求心性のあるシンボリックなデザインとした。大きな幹と枝で屋根を支え、この樹形柱を中心に床をスキップさせながら螺旋状に積層配置することで、3層吹き抜けの一体空間が作られている。外部に飛び出した床は、地域とつながりを重視する建築主の考えを表現したデザインとなっている。分散されていた機能をこの一体空間に集約させることで、相互機能の連携が図られた。また診療所の1階は研修や医療介護・生活や食事の相談会、子ども食堂など地域に寄り添う場とし、また再生衣料で作った家具を設置するなど法人の地域や環境への取り組みの役割を担っている。