宮崎県えびの市にある本施設は、内科診療所併設の疾病予防施設(医療法第42条施設)である。九州山脈の南端に位置するえびの市は、周囲を山々に囲まれた風光明媚な盆地で、古くから温泉に恵まれた湯治場として栄えている。えびの市の市街地にある本施設は、医療機関として地域住民に親しまれ、人々の健康づくりを支援するだけでなく、交流の場となることを大きな目的としている。既存棟にはフィットネスとマシンルーム、そして栄養指導室とクリニックが設けられ、増築棟には3コースある25mプールと歩行訓練用のリハビリプールが設けられている。伸びやかに弧を描く大屋根の形状は、敷地周辺を取り巻く山々の稜線と呼応しつつ、室内の空気の流れを高め、水蒸気の滞留を抑制する効果を期待している。周囲の山並みと調和のとれた流線型の屋根を持つ増築棟は、地域の象徴的な存在となっている。