本計画は、「子供たちは地域の宝物、子供の美術館のような園舎としたい」という建築主の要望から始まった。外壁には地元産の菊間瓦をはり、リズム良く配置することで地域の顔となる園舎を表現した。新居浜市は日本の近代産業の先駆けとして街が発展していった。人や家並みが集まると、そこには路地が形成され、様々なコミュニティーが形成される。この路地で遊ぶ子供たちの姿こそ新居浜の街の発展の証と考え、路地空間を本計画の構成の中心とした。廊下は内路地空間で、縦横立体的に交差させた。縦に子供たち、横に地域の軸を設け、子供たちが路地で遊び成⻑する姿を地域で見守れる計画とした。外路地は園庭を回遊するように配置し、軒下や外部テラスは子供たちの遊び場となっている。列柱で表現された軒先空間は別子銅山の駅舎をモチーフにしたもので、別子銅山から新浜港へ向かう列車は新居浜の発展の象徴であった。菊本幼稚園の子供たちがここから出発して世界に羽ばたいていく姿をデザインに込めた。共同設計:ジャクエツ環境事業 / イガラシデザインスタジオ